2005 MEDIBANK INTERNATIONAL
SYDNEY, AUSTRALIA

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January 10, 2005


2005年1月10日
開会前・記者会見


オフシーズンはどうだった? ゆっくりできた? どれぐらい練習したの?

「ほとんどトレーニングしてたね。ヒューストンから戻って1週間ぐらいしか休んでない。スコット・ドレイパーの結婚式でゴールドコーストに行ったけど、それを別にすれば、あとはずっとトレーニング。まずはコートの外でみっちり鍛えて、それからコートに入って仕上げをした。そのあいだもジムで筋トレとか、ランニングとか、水泳とか、いろんなことをやった。そういうのって、この時期にやっておかなきゃならないんだ。この3週間にじっくり基礎トレできたよ。シーズンに入ると、なかなかそういうことができなくなるからさ、いまのうちに1年分の土台を作っておきたいわけ。そうしたら、あとはそれを維持するだけでいいから」


そのトレーニングは去年までよりハードなもの?

「多少ね。だけど去年デビスカップのファイナルに向けて準備したときも相当ハードにやった。デ杯の準決勝から決勝まで7、8週間あったけど、そのあいだにみっちりトレーニングして、それが結果に表れたと思う。でも、実際そのおかげで1年間ずっといい調子を保てたから、今年もそうなればいいね。全豪のあとは数週間オフにするから、オーストラリアのサマーシーズンに向けて、できるだけ早くからトレーニングに取りかかるって決めてた。その4週間を最後まで乗り切れるように。それが終われば何週間か休めるからさ」


ずいぶん体がたくましくなったけど、それは実戦での効果を狙って意識的にやったこと?

「そんな、2週間でいきなり体がでかくなるもんじゃないと思うよ。これは僕とロジャーがこの1年半、真剣に取り組んできたことなんだ。でも、そうだね、この半年ぐらいで効果が見えるようになってきたんじゃないかな。アメリカのサマーシーズンを乗り切れたのはそのおかげだと思うし、年末のマスターズカップでいいプレーができたのも。とにかく、もうちょっと鍛えたいと思ってやってきた。シーズンに入っちゃうと、とくに筋トレとかはなかなかできないから。それってテニスのトレーニングというより、フットボールのトレーニングに近いんだけどさ。まあそういうわけで、一年中その種のトレーニングができるわけじゃないから、2週のオフのあいだにそれができてよかったよ」


これまでよりボールを強打できるようになった感じ? 筋力がついたって感じがする?

「いや。そういうんじゃなくて、効果があるのは動きの面かな。テニスでは基礎体力がとても重要だと思う。体そのものがしっかりしてれば、どんな試合でもできる。とくにクレーコートなんかだとスライドしてボールを打たなきゃいけないから。今後に向けて、いいことはあっても悪いことはないと思うね。だから、この点に関しては真剣に取り組んできた」


君のようなレベルの選手だと、たいてい次のゲーム、次のステップのことをつねに考えていると思うんだが、全豪に向けて打倒ロジャー・フェデラーについてはどれぐらい頭にある?

「たいして考えてないよ。ほかにも選手はたくさんいるし――第一、僕はまだ全豪で4回戦を突破したことがないんだぜ。4回戦で負けるんなら、ロジャー・フェデラーに負けることはありえないんだから、いまの時点でそんなの心配したってしょうがない。とにかく大事なのは、いつでも自分を負かせる選手が大会にはいくらでもいるってことさ。誰か一人のことを心配するんじゃなくて、その日の試合の相手に勝たなきゃ。たとえ僕が準決勝や決勝に進んだとしたって、そのときロジャーはもういないかもしれない。だから必要なのは、目の前の試合に集中して、できるだけいい勝ち方をすること。あらゆる準備をして、前を見つめて、自信をもってコートに立って、それで運がよければいい結果が出る。テニスってのはさ――相手が一人一人違うんだ。みんなそれぞれのゲームスタイルをもっていて、その日ごとに違う心配をしなきゃならない。その日の試合でロジャー・フェデラーをどうしようなんて考えていたって、結局、その日は彼に挑戦するわけじゃないんだから」


全豪に調子のピークを合わせるのは難しい?

「まあ、やっぱりスラムはちょっと違うよね。スラムの場合、第1週はとにかく勝つことが大事。グランドスラムは1週目では勝てない。負けるだけ。だから最初の2、3試合をどうにかして勝ち抜けることが必要になってくる。そして2週目まで残れたら、次の相手はみんな勝ち残ってきた精鋭たちだ。最高のプレーをしている最高の選手たちと、2週目はずっと対戦することになる。それが僕の目指してること。何度も言うけど、僕はまだ全豪で四回戦を突破したことがないんだよ。だから、まずはそこから片付けないと。そしてできればトップ10選手と対戦するところまで行きたいね」


これまで全豪で4回戦を突破できていないのはプレッシャーがいちばん大きな原因?

「さあ。理由はいろいろあるよ。1回は水疱瘡が原因だったしね」


それ以外については?

「もう1回は例のロジャー・フェデラーだろ。あのさあ、毎回それぞれ違う理由があるんだよ。2年前は絶好調のエルアノウィに負けた。僕が4セット中に1回も相手のサーブをブレークしない試合なんてそうそうないんだぜ。それがこの3年だったわけだけど、調子は全豪でも充分にやれるぐらいベストコンディションに近かった。全豪に限らず、全体で見てよ。オーストラリアで重要な試合をいくつもやってきたけど、地元でプレーするプレッシャーに影響されたことはまったくないと思うけどな」


前年までと比べて、今年の準備はどう?

「コート外のトレーニングに関しては必要なことはすべてやったから、充分に満足してるよ。あとは実際に試合をするだけ。先週も調子はまあまあだったし。最高のテニスができたわけじゃないけど、悪くもなかった。デント戦はヘンな感じだったね。第1セットと第2セットの途中までは、絶対にこっちのほうがいいプレーをしてると思ってたんだけど、スコアに表れなかった。でもまあ、テイラーのように全然リズムをつかませてくれない相手はそう多くないから。今週は楽しみにしてる。できればここで何試合か勝って、勢いをつけて、メルボルンに向かいたいね」


明日のカロル・ベック戦については?

「厳しいね。どの試合でもそうだけど。簡単にはいかない。彼とは数ヶ月前に全米の4回戦で当たったけど、手ごわい選手だよ。とてもフラットにボールを打つ。どっちのサイドも穴がない。あまり評価されてないけど、いいファーストサーブを打つ。絶対に手を抜かないところなんかは、いかにもスロバキアやチェコの選手の特徴だよね。だから簡単にはいかないだろうけど、とにかく自分のゲームをすることだけを考えて、できれば勝って終われるといいと思ってる」


今週の目標としては、やはり優勝を狙ってる? それとも必要なだけの試合数をこなして、そこそこの実戦練習ができればいい?

「そりゃもちろん、優勝できればそれに越したことはないよ。それはもう間違いなく嬉しい。優勝した勢いをもってスラムに向かえれば結構なことさ。だけどそうじゃなくても、何試合かこなして、まあ3試合ぐらいやって実戦の自信をつけられれば、それはそれで悪くないと思ってる」


全豪前の2週間についてだけど、まだ調整の必要を感じてる? つまりシーズン最初の1週目と2週目にプレーしたほうがいいのかどうか、まだいろいろ考えてる?

「いや。今年はとくに悩まなかったね。今年の予定についてはかなり早くから決めてた。またアデレードでプレーできるのは嬉しかったし、本当に楽しかったよ。ずっと家にいられるから、いろいろな面で楽だし。雰囲気もすごくリラックスしてたしね。2週間後には大きなプレッシャーと期待がかかってくるところに行くわけだから。このシドニーでも、毎回いいプレーができてる。ここのセンターコートの雰囲気は本当に好きだよ。だから今年の計画については、ほんとにぜんぜん悩まなかった」


全豪は楽しみにしてる? たぶんその2週間は1年のうちで最も楽しみな週じゃないかと思うんだが、ほかにもっと好きな大会がある?

「もちろん楽しみにしてるよ。あとの大会といえば――楽しみにしてるという点では、ウィンブルドンもかなり近いかな。その2つだね。1年で最も楽しみにしてる大会っていったら」


全豪での優勝とウィンブルドンでの優勝とどっちが嬉しい? ウィンブルドンはグランドスラムのうちでも最高の栄誉だろうが、全豪は君のホームスラムだよね。

「答えにくいねえ。グランドスラムはどれも比べられないよ。どれだって取れれば嬉しいと思うよ。僕は2つ取ってるけど、次に欲しいのは間違いなく全豪。メルボルンパークでのナショナルタイトルだもの。メルボルンパークでは地元選手が勝ってないし、ものすごく大きな意味があるよね。だけど、いまからそんな先のことまで考えたってしょうがないし」


昨シーズン、君は過去最高のプレーをして、世界ランク2位を上回るぐらいだったと思うんだが、ずっと同じ相手に阻まれていた。メジャーであれだけ何度もフェデラーと対戦しなくてはならなかったことが、昨年の唯一の障害だったと思う? それと、いまの調子は昨年と同じぐらいまで上がってると思う?

「ああ、彼が唯一の障害だったね。だけど、そうじゃなけりゃ僕が世界1位だってことだからさ。結局、相手が誰であっても勝たなきゃならないんだ。世界最高の選手に勝たなきゃメジャーは取れない。明らかに現時点では彼が世界最高の選手だよ。この1年半、彼は完全に抜けてる。その下の集団は非常に競り合ってると思うけど、ロジャーがテニスのレベルを一段階引き上げた。それによって全員が取り残されまいとがんばるようになる。世界最高の選手たちと競い合って、メジャータイトルを勝ちとろうというモチベーションが生まれる。去年はずっと安定して戦えていた。ナンバー1だったときより安定してたぐらいじゃないかな。去年のスラムでの調子からいったら、もう何回か準決勝や決勝に進めてもおかしくないぐらいだったけど、その前にフェデラーやガウディオに当たっちゃったからね。もし彼らと当たるのが準決勝や決勝だったら、成績ももうちょっとよくなってたんじゃないの」


一人の選手に連続して負けるのは、やはり精神的にがっくりくる? それとも「今年は心機一転」と思えるかな?

「べつにがっくりはこないよ。とくに――いまロジャーに負けるのは恥でも何でもないからさ。彼は本当にすごい選手で、このままいけば史上最高のプレーヤーの一人になるのは間違いない。だけど、こっちはこっちで自分のゲームを向上させていかなきゃ。それが何より大事なことで、どうにかして彼に勝つ方法を見つけなきゃならない。ただ、彼も今年は大きなプレッシャーを抱えると思うよ。昨年あれだけすばらしい成績を残したあとで、今年はそれを守らなきゃならないんだから。彼にとっても楽じゃないんじゃないの。もちろん今年も最初からいいスタートを切ってるけどね」


彼がイヤな奴だったらよかった? 彼は非常にナイスガイで、誰からも好かれているようだが、彼が本物の阿呆だったらもっと闘志が燃えるんじゃないか?

「くくっ、さあねえ(笑)。いや、マジでわかんないよ。まあ彼にとっては、ナイスガイですごく落ち着いてることが、彼のゲームというか、戦い方にいい影響を与えてるんじゃないの。彼が試合中にそんなイヤな奴になってたら、きっとあんないい成績は残してないよ」


キムとの別れはテニスに影響あった?

「そう見える?」


いや。

「ならいいじゃん。次に行こう」


今年のおもな目標は?

「今年も同じ、スラムとデビスカップ。それが目標だから、そのときに最高のテニスができるようにしたい。デビスカップは間違いなく厳しいものになる。でも、がんばってもう一度優勝が狙えるような位置につけたい。去年は初戦で残念な結果になってしまって、入れ替え戦に回らなきゃならなかった。だから全豪のあと、このシドニーで初戦を戦うことがまず1つの目標。とにかく初戦を突破して、また次でがんばる。ただ、そのあとは楽じゃないんだよね。アウェーでの厳しい戦いが続くから。まあたいへんだけど、楽しみにしてるよ」


マークの負傷については彼と話した? デビスカップにはかなり先まで出られないのかな?

「いや。話はしたよ。あの怪我の翌日に彼と会えたんだけど、その段階では彼もまだよくわからないってことだった。とりあえず様子を見るって。ここも欠場することになっちゃったし、全豪に出られるかもまだわからないらしいけど、デビスカップまでには間に合うんじゃないかな。ただデビスカップの前に実戦で試合勘を取り戻さないと、いきなり最高のプレーはできないからね。だから来週の全豪に間に合うといいんだけど。それがダメでも、アメリカの大会とか、インドアの大会とか、デビスカップ前にどこかに出られるんじゃない」


君が地元の優勝候補として全豪で経験していることと、ティム・ヘンマンがウィンブルドンで経験していることには多少の共通点があるかな? それともイギリスほどは大騒ぎにならないから、まだラッキーだと思ってる?

「ああ、多少はね。ヘンマンはほんとによくやってると思う。あっちじゃ、みんなが彼を乗せるだけ乗せるだろ。彼は信じられないぐらいうまく対応して、最高のテニスをやってると思うよ。たぶんプレッシャーは僕よりかかってるだろうね。こっちじゃラフターとかフィリポーシスとか、プレッシャーを分担してくれる人がいたけど、ティムはもう何年も一人だけで背負ってる。そこがたぶん違うと思うよ」


ティムには気の毒だが毎年ひどくなってる。君にはその気持ちがわかる?

「どうかな。僕はまだ23だし、それだけチャンスも多いと思うしね」


マークが出ないとなると、今年はまた君の負担が大きくなるわけだが。それについてはどう思う?

「べつに。どっちにしたって、いまの時点でマークの優勝のことをどうこう言ってる人はそんなにいないと思うよ。地元選手として可能性があるのは僕だってのが大方の見方だろ。それは当然の期待なんだから、僕がどうこうできるもんじゃない。でも全国が応援してくれてるってのは嬉しいことだよ」

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