Cincinnati Masters Series 2004

1st round / 2nd round / 続きはいずれ      

August 2, 2004
1st round
L. Hewitt / A. Bogomolov, 6-2, 6-4


――レイトン・ヒューイットは2回戦に進出、次は現在行なわれている試合の勝者と対戦します。では質問をどうぞ。


この大会で何か特別に取り組もうとしていることはある?

「いや、とくに。ただ数週間後にはグランドスラムが控えてるから、とりあえず実戦練習を重ねて、大きな大会で強い相手と対抗できる自信をつけたい。ここで何勝かできれば自信をもってニューヨークに行けるから」


ちょっと本題とはズレれるんだけど、ダレンと組んでいたころのことを聞いてもいいかな。彼がコーチとして君のゲームに取り入れたものは何だったんだろう。

「うーん、最初はちょっとそういう感じじゃなかったんだよね。ダレンに実際にコーチしてもらうようになったのって、僕がツアーに出始めて1年そこそこのころだったからさ。98年の終わり――98年の12月だったかな。僕にとっては何よりも――つまり1年目のその年はずっと父親といっしょにツアーを回ってたんだけど、僕にとってはコーチというより、テニスのこともテニス以外のことも、怪我のことなんかも含めてあらゆることを相談できる人が必要だった。その点、ダレンはとっても経験があった。コーチとしてじゃなくプレーヤーとしてね。彼とはすごくうまくいった。2人とも同じ州、同じ街の出身だし。どんなことに関しても、彼がいてくれて本当にありがたかった」


コーチも重要だけれど友達のような仲間がいることが重要だったと?

「僕にとってはいつだってそうだね。テニスはフットボールなんかと違って、1人の監督が25人から40人ぐらいの選手を面倒見るわけじゃないからさ。完全に1対1の関係だから、本当に気心が知れてないとやっていけない。たぶん誰でもそうじゃないかと思うけど、やっぱり仲のいい友達にいっしょに回ってもらいたいよ。ほとんどの時間を2人っきりで過ごすわけだから」


じゃあもうひとつ聞くけど、君が1位になったとき、コーチに求めるものが少し変わったのかな。べつにダレンと別れたのがどうこうじゃなくて、全般的な意味でだけど、あのとき君はコーチにどういうことを求めていたんだろう。ダレンはすでに君を1位にしたわけだから、それ以上コーチができることって何だったのかな。

「さあ、何だろうね。ただ、いろんな人からいろんなことを少しずつ違った部分で学べると思うんだ。ストルツがコーチになったときも、彼がいくつか違うことを僕のゲームに取り入れてくれたのは間違いない。新鮮なアイデアっていうかな、それに尽きると思うよ。ジェイソンと組んでたあの2年間は本当に助けになった。で、いまはロジャーだけど、彼ともうまくいってるし。いいコーチ3人に恵まれてありがたいと思ってる。みんな若いからボールを打つ相手もしてくれたし、僕と同じように先をめざしてくれた。彼らとは本当にいい関係だったよ」


2年連続ナンバー1だったときの調子に戻ってきている感じがする?

「ああ、ところどころではね。一概には言えないけど、そういう感じの試合もいくつかはある。ウィンブルドンなんかは最初からずっと調子がよかったし、準々決勝でロジャーに負けたのはちっとも恥ずかしいことじゃない。あの日は決勝戦のつもりで、っていうか、自分としてはそういうつもりで試合に臨んでたからさ。自分ではよくやったと思ってる。それから全仏だって、いい試合をしたと思う。準々決勝のガウディオ戦ではいいプレーができなかったけど、クレーだってことを考えれば、そこまでは最高に近いプレーができてた。ナンバー1だったときだっていい試合もあれば悪い試合もあったわけだから、そう考えると今年はずっと進歩してると思うよ。ま、いまはナンバー1じゃないけどさ」


そういう勝利のほうがナンバー1になって2年目のときの勝利より嬉しいんじゃない? 前進するためのチャレンジという意味で。

「どうかな。クレーではちょっと話が違う。僕にとってクレーは得意なサーフェスじゃないから、クレーでいい成績を出そうと思ったらものすごく努力しなきゃならない。今年はその努力が報われたと思う。クレーの大会で僕が負けた相手はみんな一流の、とくにクレーを得意としてる選手ばかりだった。クレーシーズンが進むにつれてどんどん調子がよくなっていったのは、努力が実ったってことだと思う。またクレーに戻るのは10ヵ月ほど先になるけど、これが来年に向けてのいいステップになればと思ってる」


それはハードコートに移ったときにも助けになるんじゃない?

「ああ、そりゃ自分の得意でないサーフェスで世界最高の選手たちに対抗できたって自信をもてれば――それは間違いなく、嬉しいことだよね」


ここでは前にも非常にいい成績を残しているけど、タイトルを取る自信は?

「うわ、そんな簡単に言わないでよ。こういう大会はみんな同じだよ。インディアンウェルズ、マイアミ、トロント、そしてここ、とてもよく似てる。強敵相手に7日間で6回勝たなきゃならないんだから、それってグランドスラムと同じぐらいたいへんだよ。自信はある。ここでは前にもいいプレーができてるし、去年はちょっとダメだったけど、その前は決勝と準決勝に進んだ。だけど、もし次にグガと当たるとしたら、それはとても楽な2回戦とは言えない。なにしろ彼のゲームはすばらしいし、彼自身すばらしい選手だから」


彼とは前に何回かおいしい試合をやってるね。フロリアナポリスでの試合(*)は忘れちゃいないだろ?(*訳注:2001年デビスカップ準決勝)

「はは、あれはもうホント最高。ともあれ、彼とやるときはいつもたいへんさ。一流の選手だもの。大舞台の大きなコートでやるほど燃えるタイプだ。先週のハードコートでもいいプレーをしてたし、ここでも前に優勝してるしね。だから彼とやることになったら、それはもう楽じゃないよ」


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August 4, 2004
2nd round
L. HEWITT / G. Kuerten, 6-3, 6-4


――レイトン・ヒューイットは3回戦に進出、次はヒチャム・アラジかティム・ヘンマンと対戦します。質問をどうぞ。


今日は(雨で)ずいぶん待たされたけど、始まったら終わるのは早かったね。

「ああ、今日は誰にとってもたいへんだったと思う。先週のトロントと同じでね。どっちの大会でもそうだけど、毎年こんな日が一日はあると覚悟して来なくちゃダメだね。そうなったらそうなったで、どうにか対処するしかない。無事に終わって、翌日に2試合やる心配をしなくてすめばいいけど、今日はストレートセットで通過できたからよかったよ」


今日は相手に対する警戒というか、すばらしい一流選手を相手にすごいプレーをしなきゃならないという意識があった? 

「ある意味ではね。たしかにグガはここ数年いくつか故障が重なったせいでランキングを落としているけど、どのサーフェスでも充分に警戒しなきゃならない危険な相手だってことに変わりはないから。今日だってそれを証明したと思うよ。とくに試合の終盤、追い込まれて開き直ったときなんか、すべてのショットで狙ってきたからね。そうなったら、こっちはもう何もできない。だから序盤で流れをつかめてよかった。今日はよく動けていると思ったし、たくさんボールを返せた。ラリーに入れば主導権は握れてたと思うしね」


ここ数試合は着実に何回戦か勝ち進んでいるけど、夏の後半に向けて自信になる?

「そりゃもちろん。ただ全仏でも全英でも、QFより先に行ければなおよかったけどね。両方ともそこで大会の優勝者に当たってしまった。何試合か勝ってるわけだから、それはいいんだけど、そういう強敵と当たったらチャンスを無駄にしちゃダメなんだ。全仏のQFではあまりいいプレーができなかったけど、それにしてもガウディオがよすぎた。ウィンブルドンのロジャーのときは、自分では本当にいいプレーができてると思ってたけど、前にも言ったように世界最高のプレーヤーとやるときはチャンスを逃したらもうダメだからさ」


1年前とか半年前に比べて、いまはそういうチャンスがつかめている?

「そうとも言えるけど、べつにそれほど――というか、去年の全米からずっと調子はいいと思ってるし、そんなに悪い試合は本当にやってないよ。インディアンウェルズとマイアミではいまいちだったけど、あのときだって、僕に勝った相手は超有名選手じゃないけどものすごくいいプレーをして僕を負かしたわけだからね。あの2試合を別にすれば、クレーシーズンだってずっといいプレーができてたと思う。グラスシーズンも同じ。だからべつに調子が悪いとは思ってない」


君はこの世界で成し遂げるべきことをほとんど成し遂げてしまったわけだけど、いまは何が新たな意欲となっている?

「グランドスラムだね、何としてでも欲しいものといえば。グランドスラムに挑戦してできるだけ多く優勝すること。だからそれに合わせてスケジュールを決めてる。グランドスラムとデビスカップを中心にして年初に予定を立てる。まあ今年のデビスカップはちょっと予定と外れてしまったけど、これから全米があるから、いまはそれに焦点を合わせてる。今年最後のメジャーだからね。それが終わったら、次は全豪オープン」


自分のゲームをどう適応させてる? たとえばクーリエやチャンが似たような状況にあったと思うんだが、彼らが正確なプレーで勝っていたところにビッグサーバーが出てきて、それに何とかして適応しなければならなかった。君もロディックやなんかのプレーに自分のゲームを適応させる必要を感じている?

「ああ、多少はね。ただ、自分のゲームというのは何だって時間とともによくなるものだと思う。僕は若いときからツアーに出ていたし、世界1位になったときだって自分のゲームには改良の余地がたくさんあると思ってた。まあいちばんの課題は、サーブをもっと確実にすること、もっと楽なポイントを取れるようにすること。たぶんサーブは前よりずっとよくなってると思うよ。だけど同時に、自分の長所を高いレベルで維持しておくことも大事だ。それを忘れてちょっとした欠点ばかりに目を向けるのもどうかと思う」


オリンピックに出ないという選択は、全米に向けて、スケジュールなどの面で有利になると思う?

「いや、そんなことはないと思う。ただ僕にとっては、そのほうが全米に向けていいだろうというだけで。誰が勝とうと、オリンピックの優勝者はたいへんな自信をもって全米に乗り込んでくると思うよ。オリンピックは本当に強豪ぞろいのトーナメントになるだろうから。だけど僕にとっては、メジャー前に飛行機で行ったり来たりするのは最善の準備ではないのさ。これまですごくいい成績を残してきたメジャーの前にそういうことはしたくないって、ただそれだけ」


それは時差ぼけに弱いせい? あるいは鼻の病気のせい?

「そう。前にもウィルスやなんかをもらっちゃってるから。先週もオーストラリアからトロントに移動したときにまたやっちゃったし。要するに、動かなければここに6週間ぐらいいることになるから、全米でニューヨークに行く前に少しずつ調子を整えながら新しい環境に慣れられる。とにかく僕にとっちゃ、飛行機で向こうに行って試合して、また戻ってきてベストの状態に合わせるなんてのはとんでもないことなんだ」


それを考えると、君はアメリカに本拠地を置いていない珍しいオーストラリア人ってことになるが。ベルギーには置いてるかもしれないが、ここにも置いたほうが移動には楽じゃない?

「うん、でも休みをアメリカで過ごすことってほとんどないからさ。せいぜい2週間とかそんなもんでしょ。で、その翌週にはまた別のところに行って試合するんだから。全米の前の週にはニューヨークのコートで練習してるんだし。だからべつに、どこか決まった場所をもつ必要はないんだ。そんなに長くいるわけじゃなし、それ以外は何週間もアメリカでぶらぶらしてるなんてありえないからさ」


ベルギーとかには長く滞在して、オーストラリアに戻らずにすませるの?

「ときにはね。シーズンによるよ。クレーシーズンの前とか。クレーシーズン中に休みの週があればそこに戻って過ごせるから、そういう意味ではたしかに便利だね」


自宅はまだアデレードに?

「そうそう」


次は非常においしい対戦成績をもっているヘンマンが相手になりそうだが。

「うん、彼とは何度か厳しい試合をやってる。そのうち2回は、ちょっとばかり運がよかったと思う。競った試合で、どっちに転んでもおかしくなかった。たしかクイーンズの決勝だよ、2回とも。最後の対戦は今年のロッテルダムのSFだったと思うけど、あの日は僕がすごく調子よくて、ティムはベストじゃなかった。だけどそのほかは、本当にどっちに転んでもおかしくない競った試合がいくつかあった。彼は厳しい相手だし、彼とやるときはいつもいいプレーをしなければ勝てない」


グランドスラムに賭けてると言ったけど、そっちのほうが1位に返り咲くより大切?

「グランドスラムで優勝すれば自然と1位は見えてくるよ。僕が言ってるのは、ランキングを1つや2つ上げるために毎週のように試合をするつもりはないってこと」


キムの手首の状態には詳しいだろうから聞くんだけど、彼女はいったいプレーできるの?

「いや、フォアハンドでしか打てない」


ボールを打ってもいないの?

「そう。ときどきフォアハンドで打ってるだけ」


復帰のめどは立ってるって?

「いや。全米後には戻れるといいんだけど、わからない。今後の経過しだいだね」


結婚式の予定は決まった?

「いや」


それは我々には言うつもりがないってこと? それとも全然決まってないの?

「いやいや、全然」


いつどこでやるのか我々に言う必要はないと。

「そ。ふふ」


ヨーロッパで?

「さあ。ふふ」


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